システム開発契約の基本契約と個別契約の違いとか

システム開発契約についての勉強会に行ってきました。講師は、企業法務についてあれこれの雑記のkataさん(@katax)さんでした。即戦術的なTips話というより、啓蒙的&根本的な話が中心で、それがなかなかに興味深かったです。

質疑応答というか雑談?で出た話が大事だと思うのでまとめてみるよ

開発委託契約には、基本契約と個別契約というのがありますが、その違いが分からないという話がでました。

基本契約とは、企業間で、何度も反復・継続して行われる商取引に共通して適用される事項をまとめてあらかじめ定めたものです。この先、何度も契約を交わされるだろうと思われる企業間で、個別の取引全てに適用されるような、共通した約束ごとを先に決めておくための契約書が基本契約書です。

取引ごとに、著作権は・・・とか、いつから所有権が移転されるのか・・・とか、一から、都度都度条件を取り決めていたら、面倒くさいし、書類の量も増えるし、何より、時間ばかりかかります。事業を始めたくても、こんなことで時間をとるのは非効率です。ましてや毎回同じ条件なのに、毎回同じことをズラズラ契約書に書くのだとしたら、それで契約書が何ページにも分厚くなるのだとしたら、とてもばかばかしいです。
なので、全ての契約に適用できる共通の約束事項を先に決めておいて、契約を簡素化することができるのが、基本契約のいいところです。

基本契約は絶対に必要なものという訳ではありません。毎回条件を決めなおしても、勿論別にいいんです。でも、何回か取引をするのであれば、あった方が面倒でない、そういう性質の契約書です。
基本契約を決めておけば、個別契約では、個別の取引条件(成果物の対象、納期、納品場所その他)を決めるだけでよいということになります。個別契約書は、注文書と注文請書に替えることもできます。ただし、下請法に絡む契約の場合、下請法で定められた条項を満たした発注書を交わすことが必須です。



経済産業省『情報システム・モデル取引・契約書(第一版)』平成19年(http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/keiyaku/model_keiyakusyo.pdf) より

上の図のような、フェーズごとの契約も、Aアプリを作りたいからよろしく、あとBアフィリエイトシステムもやりたいからよろしくといったプロジェクトごとの契約パターンも、全て、同じ会社に対して交わす個別契約な訳です。

ちなみに、今回だけ約束を変えたいというときは、それを個別契約に書いておけば、個別契約が優先されますので、やっぱり基本契約があった方が便利ですよねーとか、そんな話です。

追記

kataさんが当日でた基本契約と個別契約のたとえ話を書いてくれてましたが、こういう話をしてたので参考まで。

・基本契約はオブジェクトで、個別契約がインスタンス(機能面から)
・サイト共通のlink要素で参照するCSSが基本契約で、各ページスタイル要素のCSSが個別契約(適用面から)
http://blog.livedoor.jp/kigyouhoumu/archives/51976532.html

一応、何の話が出たかも書いておくよ

勉強会の主な内容

  • 契約書を締結する意味
  • エンジニアは、契約書のどこをどう見ればいいのか
  • 変更を要求する場合は、どんな理由づけをするといいか
  • 質疑応答など

契約について

契約の締結は疲れる
なぜ・・・注意のしどころがわからない

この研修の目標

契約周りの基礎知識

1.契約と契約書

契約とは・・・要は約束
契約がない契約は・・・原則有効
何故契約が必要なのか
大きく分けて2つ理由がある
・合意内容を示す証拠となる
・条件をきちんと検討するきっかけ

2.契約締結の流れ

条件設定
↓↑(この段階で契約書を調整する)
交渉

合意

稟議決裁手続き

押印手続き

契約書保管
要望を受け取ったら
 実務と違わないか
 受け入れは可能かの見解を確認する

3.契約書の読み方

要点を押さえる
この契約で相手がに何をさせたいのか
この契約で当社は何をすることになるのか
要素
絶対にしないといけないこと/対価の支払い
絶対にしてもらわないとダメなこと/成果物の納品
使えなければ意味がない
 ・・・知的財産権の帰属
 知財権利侵害持の対応
 瑕疵担保(保証)

4.契約交渉の進め方

当事者間の意見が食い違う場合対応方法は2つ
・押し切る
・交渉する・・・理由と理由をぶつけ合う

そのほかの話

瑕疵担保の設定の話とか、知財の帰属の話とかも出たけど、今時間ないので、リクエストが多そうだったら続きを書きます。

そんな感じで、kataさんどうもありがとうございました!