工事進行基準って必須なの?

何だか非常にホットになってしまっているエントリ「システム開発に欠かせない契約の基礎知識まとめ - GoTheDistance」のブコメの中の、id:kokoronoyamiさんのブコメが気になったので、ほんのちょっとだけ「工事進行基準」を説明する。

「会計監査六法」って本があって、そこに書いてあることそのまんまなんだけど、

工事契約に係る認識基準

9.工事契約に関して、工事の進行途上においても、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合には工事進行基準を適用し、この要件を満たさない場合には工事完成基準を適用する。
 成果の確実性が認められるためには、次の各要素について、信頼性をもって見積もることができなければならない。
(1)工事収益総額(第10項及び第11項参照)
(2)工事原価総額(第12項参照)
(3)決算日における工事進捗度(第13項参照)

第10項以下は省略しますけど*1、そういう訳で、工事進行基準は必須の基準ではないんですよ。ベンチャーや中小企業の取引では、よほど管理がしっかりしててリスクヘッジしようとしているところ以外は、あまりきにしなくてもよい会計基準です。
知っている人はとっくに知っているとは思いますけど、なんかもやもやしている人のために書いてみました。

追記

別にいいかなーと思っていたんだけど、一応、説明しておく。
工事完成基準で考える場合は、契約書は1本で問題ないけれど、工事進行基準の場合は、進捗ごとに契約を分ける必要があり、また、進捗ごとに支払締めが発生するような契約形態にしておく必要があります。でも、上に書いたとおり、(特に委託をする方の)ベンチャーや中小企業は、従来通りの工事完成基準での契約締結で十分だと思います(リスク逓減のメリットはありますが、肝心の開発以外の管理業務に手間がかかりすぎる)ので、大規模開発以外の契約であまり気にすることはないものかなーと思います。


ではではー。

*1:希望が多かったら載せるかも