魅惑のバストクリーム『ワンダーボム』はホントにHカップになるのか

今日のサイゾーウーマンの記事に思わず目がとまって熟読した訳なのですが・・・。

『ワンダーボム』(100g、3,675円/シアンから発売中)とは、「グラドルのHカップクリーム」というキャッチフレーズで、一部の女性の間で注目を集めているバストクリーム。そのグラドルとは、"今世紀最強のバストの持ち主"と呼ばれているHカップ松金ようこさん。もともと彼女がエステで処方してもらっていた秘密兵器を、一般発売用にさらに改良したとかで、「本来なら一万円以上のプライス必至」と豪語するサイトまで出現。


ホントかよー・・・。と思って、よく記事を読み進むと、結局効果があったんだかなかったんだか分からない結果で、orz・・・という感じだったんですが*1、発売している会社名「シアン」のサイトをよく見ると、ネットプライスの子会社じゃありませんか。

で、バストクリームの成分をじーーーーーーっと見ていたところ、「プエラリアミリフィカ根エキス」というものがある。

以前、「イソフラボン」が過剰摂取により健康障害を起こす可能性があるというトピックで一昨年*2あたりに話題になったときに、確か一緒に*3プエラリア」とか「プエラリア・ミリフィカ」という植物についても、同じような成分だから注意せよということで、ちょっと話題になったな・・・と、古い記憶が急によみがえった。そこでちょっと調べてみた。

プエラリアミリフィカが入っているとバストアップ効果がある?

結論から言うと、人によって、程度の大小に差が出るとは思いますが、おそらく効果がでるでしょう。なぜならば、「プエラリア・ミリフィカ」の中に含まれる「植物性エストロゲン」が人体に作用すると思われるからです。

プエラリアに含まれる植物性エストロゲンとは?
植物中には、エストロゲン(女性ホルモン)とよく似た構造と性質をもつ物質が多く見いだされています。これらは総称して植物性エストロゲンと呼ばれています。植物性エストロゲンは、エストロゲンの受容体に結合することでエストロゲンに似たホルモン作用を示します。
プエラリアにもこのような成分が多く含まれていることが知られています。

プエラリアには強い植物性エストロゲンが含まれています
プエラリアにはイソフラボン類よりも更に活性の強い植物性エストロゲン(デオキシミロエステロール、ミロエステロールなど)が含まれています。プエラリアの抽出物を配合した健康食品には、イソフラボンについては記載されていても、より作用の強い植物性エストロゲンについてはほとんど記載がありません。

でもプエラリアの安全性は確立されていない

海外発の効力の強いサプリや化粧品などは、後から強い副作用が発見されるってことは、まあ、よくある話なんですけど、この「プエラリア」を含む商品も、やっぱり注意が必要なようで、国立健康・栄養研究所*4でも、実は、注意するべき事項を公開しています。

下記にズラズラっと引用しますが、簡単に言うと、「プエラリア」の成分中には、強い女性ホルモン作用物質が含まれ、「プエラリア」を摂取することによって、内在する女性ホルモンの分泌が抑えられてしまう可能性があり、また、ホルモン代謝系を撹乱し女性ホルモン分泌能が衰えるおそれもあるものだと言う点がポイントの1つでしょうか。

プエラリアの有効性と安全性について
プエラリアについての有効性情報を検索したところ、ヒト試験で更年期障害に伴う血管運動性症状の緩和効果を示唆する情報が一件見つかりました。しかし、これ以外の効果については動物試験および試験管内実験の結果が中心で、現時点ではヒトで明確な有効性を示した情報は見当たりませんでした。
一方、プエラリアの安全性情報については、次のような研究報告が見つかりました。
・ヒト試験:更年期症状が相対的に緩和されたが血中エストラジオールの変動が認められ、一部の被験者で貧血、肝機能検査値の変動が報告されています。
・動物試験:プエラリアの摂取は性ホルモンの分泌を低下させ、メスでは排卵を抑制する可能性がありますプエラリアに対する感受性はオスに比べてメスの方が高く、少ない摂取量でも影響が認められると報告されています。

■この情報で注意することは?
プエラリアの抽出物を配合した製品には、「プエラリアの主要な植物性エストロゲンイソフラボン、中でもマメ科クズ属に特有なイソフラボンであるプエラリン」「「プエラリアイソフラボン含有量は大豆の数十倍イソフラボンの女性ホルモン作用は穏やかで、女性ホルモンが不足している時はその働きを補い、女性ホルモンが過剰な時はその働きを抑える」などと表示されています。
しかしながら、プエラリアは、類似した成分を含むクズや大豆に比べ、非常に強い作用を有すると考えられます。健康食品の安全性に影響する因子としては、その成分自身の作用もありますが、むしろ摂取量(過剰摂取)、摂取対象者(ハイリスクグループ:感受性の高い人)の影響が大きいと考えられます。現時点でプエラリアの安全な摂取量についてはよくわかっていません。そのため、過大な期待をして安易に利用するのでなく、その必要性を冷静に判断し、利用する際には特に安全性を重視して下さい。


・・・という事で、結局のところ「危険です」と断定しきってはいませんが、十分に注意が必要だと説明しています。
内閣府食品安全委員会でもこんなトピックがあったようなので、一応引用します。

食品安全委員会企画専門調査会 第16回会合議事録 15ページ

次に6番「プエラリア・ミリフィカに関する食品健康影響評価」でございます。「評価の必要性」につきましては、最近プエラリア・ミリフィカという植物成分を配合することにより、豊胸、美肌、若返り、強壮、不妊の改善、更年期障害の緩和、骨粗鬆症や高脂血
症の防止などの効果が期待できることをうたった健康食品が流通
しております。
「危害要因に関する情報等」でございますが、プエラリア・ミリフィカは、タイ北部に自生するマメ科の植物でございます。
その下の○ですけれども、プエラリアエストロゲン活性の主体と言われているミロエステロールの前駆物質であるデオキシミロエステロールはイソフラボンに比較して非常に強いエストロゲン活性を持ち、エストロゲン受容体に対する結合能はゲニステインのそれぞれ4倍及び20倍、また17β−エストラジオールに匹敵するエストロゲン活性を示したという報告がございます。
「海外におけるリスク評価ですけれども、プエラリアの有効性についてのヒト試験が実施されておりまして、閉経期及び閉経後女性37 人を対象とした第二相試験、6か月間の摂取によりまして、更年期症状が相対的に緩和されたが、血中エストラジオールの変動が
認められ、一部の被験者で貧血、肝機能検査値の変動が報告されております

「管理状況・流通状況等」でございますが、「国内の状況」では、プエラリア・ミリフィカの植物エストロゲン作用を利用したいわゆる健康食品が広く流通しております。
規制に係るリスク管理措置は行われていないが、独立行政法人国立健康・栄養研究所は、プエラリア・ミリフィカの安全性、有効性等に関する情報をホームページで公表しておりまして、安易に利用せず、特に妊娠中、授乳中、小児の利用は避けるべきとしております。

規制等のリスク管理措置は行われていないのはなぜか

というのは、同じく食品安全委員会企画専門調査会の議事録に書いてありました。

それでは、今回、10項目挙がっておりますけれども、残りのお時間で1項目ずつ、これを食品安全委員会で食の安全性について評価を行うかどうかについて意見をお聞きしたいと思います。
(中略)
その次は6番のプエラリア・ミリフィカに関する食品健康影響評価。特に植物性エストロゲンに関連したものでございますけれども、これはどうしましょうか。
○ 山本専門委員 プエラリア・ミリフィカとその次に出てくるノニジュース、メシマコブも共通だと思うんですけれども、もともとこの種類の成分は特定の消費者が特定の目的に使われるわけですね。一般国民消費者が常時摂取する可能性は本来ないはずだと思うんで
す。しかも、いずれも国立健康・栄養研究所の方で既に情報がきちんと公開されていますし、そこでかなりリスクは表明されているわけですね。これはほかの一般の食品成分と比べて、食品安全委員会でリスク評価するほど重要性はないんだと思います。

○ 富永座長 私も今、山本専門委員がおっしゃったのと同じ意見でございまして、これはいいのではないかと思っておりますが、是非残した方がいいという御意見がございましたら、どうぞ。よろしいですか。では、プエラリア・ミリフィカはパス。


理由は「特定の消費者が特定の目的に使う」もので「一般国民消費者が常時摂取する可能性は本来ないはず」だから。
そして、「国立健康・栄養研究所の方で既に情報がきちんと公開されている」から。「そこでかなりリスクは表明されている」から。
だから、「ほかの一般の食品成分と比べて、食品安全委員会でリスク評価するほど重要性はない」と。


危ない。危なすぎる。第一根拠が全然ないじゃんか。

結論

あくまでも「個人的には」という意見ですが、「プエラリア・ミリフィカ」を含む商品*5は、利用を避けた方がよいでしょうね。特に「常用」はやめた方がいい気がします。

あと、サイゾーウーマンでピックアップされていた『ワンダーボム』については、化粧品なのに処方のようなことが書いてあって、薬事法違反じゃんかと。今、確か薬事法って広告するだけで違反になるから、ネットプライスの子会社はもちろんのこと、サイゾーの方も微妙。コレ、厚労省が見たら、怒られる気がしますよ。ホントに。

*1:orzって初めて使ってみたよ。ニュアンスはこんな感じでいいんだよね?

*2:去年?

*3:同時期に?

*4:食品成分などの素材データベースをwebで提供していて、危険なものについては注意喚起なんかをしたりもしているところです。

*5:サプリのような体内摂取するものは特に