弁護士先生に「ぶっちゃけ法科大学院卒ってどうなの?」とか色々聞いた

先日、日本4大法律事務所の1つに所属する、とある若手(というか中堅に近いのかな?)弁護士せんせーと、休日にランチをしてきました(ちなみに、プライベートな知人です)。フレンチおごってもらったwww
この方は、とても優秀な方で、かつマジメで明るくて人当たりがイイ先生なんですが、この日は、とても楽しい時間を過ごしました。その中で、色々と面白い話を聞いてきたので、差し支えない範囲でとりとめもなくエントリーしてみます。

実務相談なら若手の先生の方がいいよね

そうそうたる法律の大家みたいな先生達が沢山いるけれど、例えばネット業界やコンテンツ業界のような「技術革新の目覚しい業界」では、その技術やしくみの説明を、即理解してもらわないと、その先の話が進まないし、(「若手」と決め付けるともしかしたら語弊があるかもしれないのだけど)ネットの仕組みのイロハから説明しないとならない先生より、自分で普段からネットで遊んでいるような先生達の方が、最小限の話で、全てを理解してくれてイイです。理解したうえでケーススタディまで想定するには、ネットならネット関連への深い理解が必要だし、微妙なポイントまで思いついてもらえる事が大事なので、やっぱり、その点、若い先生の方が柔軟性がある気がします。・・・という話をしました。

ぶっちゃけ、法科大学院卒ってどうなの?

法科大学院導入後の新司法試験の合格者は2008年が合格率32・98%*1ということで、3年間で減少傾向にある合格者ですが、以前の司法試験の合格率数%からすると合格者激増で、就職難とか、質の低下を示すトンデモ弁護士のニュースとかで色々話題になってます。
で、そういった新司法試験組について、大手ローファームでは、何か影響があるのかな・・・と思って率直かつストレートな疑問をしめしてみたのです。


「ぶっちゃけ、法科大学院ロースクール)卒ってどうなんですか?新司法試験で入ってきた方達、今までと何か違いがありますか?」
「うちに関しては、全く影響はないですね。数パーセントの人数から33%と、少なくとも20%を大幅に超える人数が弁護士となった訳なので、ピンとキリの差は大きくなったと思いますが、いつでも上澄みの方は本当に優秀だと思いますし、そういう意味では全く影響を受けないですよね」


そうだよなぁ。まあ、想定どおりの答えでちょっとつまらない・・・。

採用はどうやってしてるの?

「●●(←法律事務所の名前)は、どうしたら採用になるんですか?」
「まず、学校の成績表を取り寄せて、そこで1段階目が決まって、後は面接ですよ。この人と働きたいかなーとか、一緒に働くところがイメージできるかなーとか、そういうところで決まります」
「あ・・・案外ふつーですね(笑)」
「そう、普通なんですよwwそれに、サービス業ですから、コミュニケーション能力大事ですしね」

メモも取れない高学歴者がたまにいる

「ハズレだ・・・って、人、全然いませんか?」「ほとんどいませんね。」そこで、私が先生にした話は以下の通り。


最近、結構な高学歴で、さぞ勉強は出来るだろうに、メモが取れない子をときどき見かけるんですよね・・・。業務指示しますよね。メモ取りますよね。で、メモ取ってるしと、安心していると、全然違うことやってくるんですよ。
例えば、【会社名と代表社名をそれぞれgoogleで検索して、1ページずつプリントアウトしてください】というとても単純な内容なのに、会社名と代表社名を一緒に検索したうえ、3・4ページも検索結果をプリントアウトしてきたり。
私としては、『何故そうなる?』と、愕然とする訳です。
で、何をメモしたんだと言う事で、メモを見せてもらうと、必ず、全文メモ*2じゃなくてキーワードメモなんですよ。100%。みんな別々の人物なんだけど、みんな共通して、キーワードメモなんです。本人の重要だと思ったキーワードだけ羅列してあって。
文章の正確な内容は、せいぜい2・3日程度ですぐ忘れちゃうじゃないですか?で、忘れるから、ちゃんと文章化して正確に記録しておけばいいのに、キーワードメモだけしてそのまま放置して、後でそれをみて、キーワードをつなげるニュアンスは、本人の脳内で勝手に(というか独自に)文章化しちゃうんです。で、結果全然違うことをする。
10回言っても10回同じような間違いをする。バカなの?*3と思うんですが、みんな高学歴なんですよね・・・。


これを聞いた先生いわく、「入ってきたばかりの弁護士が最初にやる仕事は、(ここらへん、正確な事忘れましたが確か)クライアントからヒアリングした内容を記述書に落とす仕事(というようなことをいってた気がする)なんですよね。で、たまに「そんな事言ってねーよ!」という内容のものを出してくる人はいますね。ここで、多少は(さっき言っていた)当たり・ハズレは、少し出てきますね・・・」と。


やっぱり、聞く力、言っている事を正確に聞き取り、言っている通りの内容で正確に理解し、その上で、言っている事からブレないように対応するというのは、学校のお勉強が出来ることというのと、また、違う能力が要求されているのかなぁ・・・と思ったりしました。
某法律事務所の弁護士のような優秀であろう人でさえ、そんなのがたまにいるというのだから、絶望した!


・・・で。後日、wassrで、とある方が、

はてブ界隈は、書いてもないことを勝手に読み取って的外れな非難をする人が多すぎる

[書いてないことを読み取るマン登場] というタグを使いたいけど長過ぎるなあ。

ということを言っていたのですけど、ヒアリング命の弁護士でさえ(しかも日本4大法律事務所という最高峰のところでさえ)肝心の「聞き取り能力」が弱い人がごくまれにでもいる訳だから、ましてや、世の中、言っている事を「100%正確に受けとめてもらえる可能性」はまず無いに等しく、「大体は理解してもらえる可能性」でさえ結構低いというくらいの気持ちで立ち向かわないと、難しいのかもしれない・・・と思ったりしました。

なので、発信者も、理解されたいと思うならば、自分と自分の周りだけ分かるようなことばかり言わずに、なるべく、みんなに分かりやすい言い方、事例の説明を心がけないとならないなぁ・・・と。仕事がらみで特に、それを必要とされている昨今、改めて自戒いたしたりしました。。。

*1:2007年は出願者数比合格率34.27%、有受験資格者数比合格率35.06%、受験者数比合格率40.18%

*2:全文という言い方がよくないので誤解受けるみたいですね。すみません。補足すると、要するにセンテンスでのメモをしようと言う意味で、パラグラフ全体を全部残せという意図ではないです。(2008.12.29.追記

*3:何回も同じ間違いをしているだけあって、記憶力に特別な自信がある訳でもなく、本人達は、忘れっぽい事も自覚している。怒られたことすら全て忘れてしまうのか?