EC事業者は「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂を見るべし

毎年、年1回程度改定される、経済産業省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の公示がされていたので、メモ。
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の公示について

インターネットを利用した取引における法律の適用関係を明確にすべく、民法その他の法律の解釈指針である「電子商取引等に関する準則」を改訂し、新たに「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」として公示するもの。
今回の改訂は、ネットショッピングモールでの個別取引についてモール運営者が追う責任やウェブ上の広告規制、他人のホームページにリンクを張る場合法律上の問題のなどの論点について、民商法、薬事法等の業法、著作権法などの解釈を示すもの。

※見やすいように、私が改行を入れました。


"効果効能に関する書き込みを期待して、健康食品等を販売する事業者が掲示板を設置し、それを積極的に利用する行為があった場合には、効果効能に関する広告とみなされ薬事法違反と解釈される"
・・・なんてあたりは、気になるポイント。自社サイト以外の「効果効能が記載されたサイト」へのリンクも薬事法健康増進法違反の可能性とかいう記載あたりも、なんか以前(ここ最近)にもこの手の記載を官庁系ホームページのどこかで見た気がするけど、事業者は意外に知らないと思うので要注意。
※前にいた会社なんか、自社Webで書くとモロ薬事法違反になってしまうから、と言う事で、トリビアサイトなんかにリンク貼ったりして、たとえばビタミンCについてはここに書いてあるよ的にtarget=newとかtarget=_blankとかでページ見せて、効果効能効果を暗に期待してたりもしたから、こういう規制は、イタイと思うところも多いんだろうなー・・・なんて思ったりする今日この頃。
あとは、薬事法の許可が無い事業者が輸入した化粧品の広告は、薬事法の違反幇助に問われる可能性があるとの事。くわばらくわばら・・・。

あとの気になるポイントとしては、

ユーザーは、リンク元のウェブページ中に記述されたリンク先のウェブページのURL をクリックする等の操作を行うことにより、リンク先のウェブページを閲覧することになるが、この際、リンク先のウェブページのデータは、リンク先のウェブサイトからユーザーのコンピュータへ送信されるのであり、リンク元のウェブサイトに送信されるわけではなく蓄積もされない。即ち、リンクを張ること自体により、公衆送信、複製のいずれも行われるわけではないから、複製権侵害、公衆送信権侵害のいずれも問題にならないものと考えられる1。サーフェスリンク、ディープリンク、イメージリンク、フレームリンク、インラインリンクの個別の態様でのリンクを張る行為自体においては、原則として著作権侵害の問題は生じないと考えるのが合理的である。

例えば、ユーザーのコンピュータでの表示態様が、リンク先のウェブページ又はその他著作物であるにもかかわらずリンク元のウェブページ又はその他著作物であるかのような態様であるような場合には、著作者人格権侵害等の著作権法上の問題が生じる可能性があるとも考えられる2。さらに、そのようなリンク態様において著作者の名誉声望が害されるような場合には、著作者人格権の侵害(著作権法第113条第6項)となる可能性もあるであろう3。

・・・ということで、ディープリンク著作権違反説について、一応の結論を提示してますので、ご参考まで。
※あとは、まだざっと見しかしてないので、いいコト言っているかどうか、よく分かりません・・・。


一応、以下に今回の概要を記しておきます。
■「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の改訂内容
電子商店街(ネットショッピングモール)運営者の法的責任修正(p44〜)

電子商店街(モール)を通じて行われる個々の取引に関し運営者が負う法的責任について検討したものです。商法第14条が類推適用されるほかに、モール運営者が負い得る責任について検討しています。

薬事法健康増進法による規制追加(p90〜)
貸金業法等による規制追加(p99〜)

ウェブ上の広告表示規制について検討したものです。薬事法健康増進法貸金業法金融商品取引法、商品取引所法がウェブ上の広告表示にどのように適用されるかを検討しています。

SaaSASP のためのSLA(Service Level Agreement) 追加(p171〜)

SaaSASP 利用契約におけるSLA の法的効力について検討したものです。SLA を、義務規定、努力目標規定等として設けた場合にどのような法的効力が生じるかについて検討しています。

・ID・パスワード等のインターネット上での提供修正※(p201〜)

シェアウェアなどの利用に不可欠なシリアルナンバーを権利者等の許諾を得ることなく公開する者の責任について検討したものです。著作権侵害を構成しない場合であっても、一般不法行為が成立する可能性について検討しています。

・使用機能、使用期間等が制限されたソフトウェアの制限の解除方法を提供した場合の責任追加(p212〜)

ソフトウェアの体験版に付加されている機能等に関する制限を不正に解除する手段をインターネット上で提供する行為に対して、法的にどのような制限があるか検討したものです。

・他人のホームページにリンクを張る場合の法律上の問題点修正※(p251〜)

他人のホームページにリンクを張る場合に、どのような法的責任が生じ得るかについて検討したものです。著作権法に基づく責任について新たに検討