年収200万円台で結婚するという現実

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 増田さんへ。私は久しぶりに激怒しました。-iGirl
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をみて、色々考えたんですが、年収200万円台で結婚することの大変さをちょっとコメントしてみようかと思いました。
年収200万円台だと、結婚は特に問題ないけど、子供を育てるということを考えると、やはり、なかなかに大変で厳しい(物価の高い首都圏では特に)。結構覚悟とたくわえが必要だと思います。
ちなみに、身内に、片方が年収200万円前半(これは女性のほう/ちなみに額は手取りじゃなくて額面です。2人ともボーナス込みの額なので、月額手取りは相当厳しいです)、片方が年収200万円後半(男性のほう)で結婚したひとがいます(身内は女性のほう)。代々付き合った人はみんなお金持ちだったりエリートだったりしましたが、結婚を決めたのは、お金がない彼で、両親はもしかして内心ガッカリしたかもしれないけど、娘が選んだ人だから間違いないだろうと、特に反対もせず、滞りなく結婚をすることになりました。
彼女は、将来、子供を生んだ後もずっと働くなんてあまり意識していた訳ではないのですが、特に専業主婦になりたいと思っていた訳でも、働くことにものすごい抵抗があったわけでもなく、結果的には消去法による選択としてですが、自然にダブルインカムの道を選びました。
その後すぐ(結婚前)、予期しない程早くに子供が出来てしまって、貯金はないしどうしようということで一瞬悩んだようですが、産休を取って子供を出産して、出産満5ヶ月を超えた後、持ち金がつきてしまって、産休を1年間とれずに復職しました。
仕事が忙しい会社に勤めてて、結構ムリがたたったのか、産前も法定産休よりちょっと前に休職したとたんに、出血して入院20日間。そんな感じなので、悪露 *1が終わらなくて2ヶ月以上続いたりして、あまり産後の肥立ちが良くなかったりで、かなり6ヶ月目の復職も、正直厳しいものがあったようなのですが、家計上の理由で仕方ない復職だったみたいです。
こういう厳しい環境でも愛があれば楽しく暮らせると思うけど、彼らの両親(特に女性のほう)は、なかなかに複雑な心境だったようで。
なので、私は、女性が稼いで男性が子供を育てる夫婦も全然アリだと思うので、どっちが収入を担っても別にいいと思うのですけど、「年収200万円台の相手と結婚したい」と言われたら、男女問わず、自分の子供が相当に稼いでなければ、心配な気持ちになるだろうなぁ、やっぱり。


それで、ついでなんですが、世の中では「子供が出来るとお金がかかる」とよくいうけど、一体どれくらいかかるのか?ということで、軽く資料を見てみました。
平成17年版国民生活白書 第3章 子育てにかかる費用と時間第1節 子育てにかかる費用-経済企画庁国民生活局

一人の子どもにかける費用はおよそ1,300万円

(略)0歳から21歳まで、子どもを一人育てるのにどのくらいの費用がかかるのだろうか。こうした費用を推計するには様々な方法が考えられるが、ここでは、子育てにかかるすべての費用を積み上げるのではなく、子育てしない状態に比べて追加的な費用がどのくらいかかるかを子育ての費用と考える。
(略)以上の考え方に基づき推計すると、一人の子どもを育てる費用は1,302万円となった。

http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h17/01_honpen/image/hm030112.gif
ちょっと乱暴だけど、0歳から21歳一杯までの22年間で単純に1,302万円を割って計算すると、約59.2万円。1年間に60万円弱の計算だ。
下記資料から見ても、大体そんな感じと思って、さほどの誤差はないのではないだろうか。
暮らしと金融なんでもデータ(平成19年)-金融広報中央委員会

子育て費用(2004年)

生活費/必要費用計 選択的費用 合計
妊娠・出産 493,879 47,947 541,826円
0歳 250,960 249,281 500,241円
乳幼児(1〜3歳) 432,779 1,052,773 1,485,552円(495,184/年)
幼稚園児(4〜5歳) 1,299,141 240,224 1,639,365円(819,683/年)

資料:財団法人こども未来財団「子育て家庭の経済状況に関する調査研究」(2005年度)

ちなみに、出産関係の手当て・諸税・保険の扱いは、

・社保で出産手当金(法定産休期間内の休業1日につき標準報酬日額の3分の2相当額支給)
育児休業給付金(育児休業開始時の賃金日額の30%×支給日数(育休開始日から1カ月ごとに30日分、休業が終了する月は実際の日数分支給))
・出産休暇(産前産後休業)については、社会保険料(健康保険・厚生年金含む)の免除はない
育児休業中の社会保険料(健康保険・厚生年金含む)免除(また免除期間は子供が3歳に達するまで)
雇用保険は給与の支給がない場合(交通費含む)発生しない
・住民税の支払いは必要
・児童手当(東京都の場合、小学校6年生までの子供を養育している人に3歳未満一律10,000円・以降5,000(第3子以降10,000)円支給。ただし所得制限あり)

・・・という感じで、後払いですが、月給の3割程度のインカムや1万円の児童手当などが入ってきますが、出産前は社会保険の支払いがあり、休みを通して住民税はずっと支払わなければならないため(会社によって、月々とか2ヶ月一回の振込みだったり、一括復職後後払いだったりするようですが)、プラスマイナスすると、(よほどの高所得者じゃない限り)あまりインカムとして期待できない額になるのかなという気がします。
だから、ダブルインカムで働いてたとして、奥さんが産休に入り、1年間育休を取るとすると、各手当を考慮しないで考えれば、最低(後者の資料を基に計算すると)1,042,067円はストックが必要*2ということに。
出産は保険が利かないから、自費で支払う必要があるけれど、社保で後から1児につき一律350,000円支給される(健保によっては、これにプラスで付加給付がある場合もある)。(これは、通常分娩の場合、大抵プラマイゼロどころか、お金が●万円程度微妙に足りないケースが多いように聞く。)*3
あと、気になるのが、上記の費用には、ベビーカーだの子供の布団だのの代金は、全く考慮していないように思われる点だ。こどもをあやしたりするおもちゃのお金なんて、尚更の話だ。
すべて人からもらったり、借りたり、リサイクル品やヤフオクで調達する手もあるだろうけど、特に新生児の頃は、衛生面から考えて、(追記/口に入れるものや肌着、シーツあたりなどは少なくとも、)人の使ったものじゃないものを使いたいという気持ちがあってもおかしくないと思う。
そういう費用にプラスして、休業中の奥さん分の生活費の確保が必要。
まあ、そんな感じで、お金がなくても結婚は出来るけど、子供を考えたときは、あらかじめ準備を頑張らないと厳しいかな・・・という気がします。


ダブルインカム子育ては、復職したら復職したで、保育園やその他の保育サービスにかかる費用も大変みたいなんだよねー。
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h17/01_honpen/image/hm030119.gif
少子化に歯止めがかからない筈だよ、と、しみじみ思う。

追記

そんななか、こんなニュースがあったので、ここに書いておこう。
妊婦検診の無料化を検討 出産一時金の増額も-MSN産経ニュース

舛添要一厚生労働相は22日午前の記者会見で、すべての妊婦検診を無料化し、公的医療保険から給付される「出産一時金」についても増額を検討する方針を明らかにした。財務・総務両省と協議し、来年4月からの実施を目指す。

また、出産一時金については、出産後に健康保険組合などに申請すると35万円が支払われる仕組みだが、都市部では出産費用に50万円程度かかることもあることから、全国調査を行った上で地域の実情に応じて増額を検討。一時金が医療機関に直接支払われる仕組みへの見直しも検討する。

ほうほう。

追記2

こういう状況で、両方の両親のサポート(金銭的にも、人力的にも)というのは絶大な力があるようで、(ご両親に期待ができる立場の方であれば)なおさら、増田さんの話ではないですけど、結婚は法的には2人の意思さえあればいいとはいえ、やはり、ご両家のご両親の理解と心証を得ることというのは大事だなとも思うわけで。。。*4

追記3

この話より、まだまだ大変な人は沢山いるのは承知の上ですが、それでも、当時は本当に大変そうで、親からすると、やはり、もしかしたらしなくてもよかった苦労に見えていただろうな・・・と思って、エントリーしました。


id:kotorikotorikoさんへ

妹さんは幸せなの? そっちのが気になるわ。

センシティブな話なので対象をぼかしたのですが、とりあえず妹の話ではないのです。これ以上は、色々複雑な話になるのでネットにはかけないのですが、紆余曲折の末、今日現在本人は楽しく暮らしてますので!ありがとうございます★

追記4

ついでにこちらも見ていただけると嬉しい。
失言には片目をつぶってくれたらうれしい。私もそうする。

*1:産後すぐから2週間〜1カ月ほど続く、子宮からの出血のこと。出産によりはがれ落ちた子宮内膜、胎盤があったところや産道の傷跡からの分泌物とかが、出血と言う形で出て来るそうです。

*2:このあとの文章に、その他必要な費用の話を書いています。これだけでは済まさせませんので、要注意。

*3:下記に引用したニュースでは、「都市部では出産費用に50万円程度かかることもある」とあります

*4:増田さんの彼女のご両親の失礼な態度を肯定している訳ではありませんが、まあ、これは「こうすべきだ」という話ではなくて、その方が、長い目で見たときに自分たちが楽になれるかもよーということです。